伊ロックダウン異聞

新聞に次の主旨のコラムを書きました。

 

 

~ロックダウンこぼれ話~

統計によると、新型コロナもなんのその、 イタリア人のほぼ半数がことしも夏のバカンスを計画している。しかし実際に宿泊先や交通機関などの予約を入れているのは、たった5%強。

最低でも一週間は滞在するのが当たり前のバカンスに、予約なしで出かける者はまずいない。従って“6月になっても予約を入れていない”とは、ほぼバカンスに行かない、と言っているに等しい。

一方バカンスに出ない、と決めた約半数の国民のうちの25%は、ごく素直に「新型コロナが怖いから」と答えた。また16%の人々は、コロナの影響で収入が減ってとてもバカンスどころではないという。

イタリア人は3月10日~5月3日のロックダウン中に平均2キロ太った。自宅にこもって運動や散歩もできないのに人々の食事の量は18%増えた。

不安やストレス、食料不足になるのではないか、という恐怖感などが悪く作用した。ロックダウンが明けた今、イタリア人の47%が減量が最大の目標と答えている。

ロックダウン中は66%の家庭が、野菜や果物の皮など、食べられない部分を除いて食料をほとんど捨てず、約75%が自宅待機中は食べ物を以前よりもより大切に扱った。

世界のあらゆる富裕国の人々と同様に贅沢に慣れ切っているイタリア国民が、新型コロナ禍を機に“もったいない”の精神に目覚めたのなら、災いもよしとする余地があるかもしれない。

さらに同時期には約63万人が禁煙に成功した。ただし、電子タバコの喫煙者は43万6千人増加。紙巻きタバコから電子タバコに乗り換えた者が多いと見られている。なぜそうなったかは不明。

ロックダウン初期の3月には犯罪も約70%減少した。DV(家庭内暴力)も37、4%減った。これはDVが増えたイギリスやフランスとは逆の現象である。

一方、高利貸しなどの悪徳商法の被害者は約10%増加。経済的に行き詰まった小規模事業者や個人が、マフィアなどの犯罪組織から金を借りるケースが急増したのだ。

また倒産の危機にある企業は国全体の4割近くにものぼる。コロナ惨禍は特に観光業界を直撃した。観光やバカンスが盛り上がる夏を迎えても、ホテルの半分以上は営業を再開しない(できない)と見られている。

 

 

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