イタリアのメローニ“極右”政権が発足から3年目に突入しました。
メローニ政権は極右から中道寄りにシフトし続け、表向きはいわば急進的な右派政権という具合になっています。
メローニ政権はEU(欧州連合)とも良好な関係にあります。ウクライナ戦争では反プーチンの立場を貫き、NATOとも、従ってアメリカとも今日現在は緊密に結びついています。
ファシスト党の流れを組む「イタリアの同胞」のメローニ党首は、いかにも極右らしく反移民と反EU(欧州連合)を旗印に活動を始めましたが、政権奪取に至った2022年の選挙では、反EUのスタンスを胸奥に収めて戦い勝利しました。
イタリアの同胞は、第二次世界大戦後に結成されたネオファシスト集団に起源を持ちますが、メローニ首相自身は近年極右から距離を置くよう努めており、自身の政党は主流保守派だと主張します。
彼女は首相になると同時に険しい極右の言動を控えて、いわば強硬右派などとも呼ばれるべき穏健な道を歩みだしました。顔つきまで変わりました。
ほとんど 狂暴にさえ見えた激甚な表情が母親のように優しくなったのです。
弱小政党を議会第一党にまで育てるには、烈烈たる情緒と確固たる信念を胸に活動することが求められます。
彼女はそれを実践し選挙運動では声高に、過激に主張を展開し続けました。それが彼女の酷烈な表情だったのだと分かります。
メロ-ニ首相は2年前、議会の初演説でファシズムを非難し、ムッソリーニの人種差別法はイタリア史上最悪の出来事だったとも述べました。また同盟国に対しイタリアの欧州連合への責任ある関与も保証しました。
政敵からはネオファシストと呼ばれたりもする右派のメローニ首相が、政権奪取後には中道寄りへと舵を切るであろうことを筆者は予想し何度もそう書きました。
彼女はその通りの道を歩んでいます。メローニ政権が極右らしい動きに出たのは、不法移民をアルバニアの収容所に送り始めたことぐらいです。
その策は時間とともに拡大強化されて、ファシストの大好きな反移民また排外差別主義の巣窟へと変化して行く危険を秘めています。
不法移民への反発は欧州中にも広がっていて、メローニ政権の政策に同調する声も高まっています。
それだけに欧州の寛大な心が、冷たく過酷な反移民、排外差別主義へと向かう可能性は否定できません。
それでも今のところは、メローに首相の政策を極右の酷薄な仕打ち、と即座に連想する者は多くありません。
official site:なかそね則のイタリア通信