日本よ、あわてるな

2020年11月18日、イタリア時間の昼間、午後1時に日本とのリアルタイムで流れるNHKの夜9時のニュースが、「新型コロナの一日あたりの感染者数が過去最大の2201人!」とまるでこの世の終わりのような勢いで報道していました。

東京の一日あたりの感染者も493人の新記録。重症者も39人と多い。全国では276人。感染拡大が止まらない。医療現場は逼迫の一途をたどっている!等々と不安と恐怖のオンパレードです。

筆者はそのニュースを見ながら正直うんざりしました。日本の平和と、平和を恐慌に見立てるNHKの軽さと嘘っぽさにです。それは日本の軽さであり嘘っぽさです。日本があってNHKがあるのですから。決してその逆ではありません。

同じ日のイタリアの一日あたりの新規感染者数は32191人。日本のほぼ15倍です。スペイン、フランス、イギリスなども似たリ寄ったり。ドイツでさえ一日で26231人の新規感染者を数えました。

むろん死亡者も多く、重症の患者も日本とは比較にならないほどにおびただしい。医療現場も多くの国で逼迫しているのは言うまでもありません。

欧州では連日そういう状況が続いています。各国はロックダウンやそれに近い厳しい行動規制を敷いて感染拡大を食い止めようと必死になっています。そしてその多くが、それなりの成果を収めています。

成果とは、感染拡大を劇的に抑えているという意味では断じてありません。欧州が第1波の恐怖と絶望の時間を経て、感染拡大と共存する方法を日々学びながら、それをいわば自家薬籠中の物としつつある、という意味です。

欧州どころか世界でも最も悲惨な第1波の洗礼を受けたここイタリアでさえ、第2波の恐慌を冷静に受け止めてこれに立ち向かっています。

イタリアよりも強い第2波に襲われてきたフランス、スペイン、イギリス等も果敢にパンデミックに対峙し、恐れ怒りつつも断じてパニックには陥っていません。

それなのに日本の体たらくはどうでしょう。世界、特に爆発的な感染拡大が続く欧米などに比べたらどうということもない数字に慌て、悲鳴を上げ、錯乱しています。

日本はコロナ禍中の世界の国々の中では、経済も医療も社会状況も依然として良好な幸運な国です。少しはそのことを思って気を落ち着け、状況を見極めつつ行動する努力をするべきです。

一見した限りでは、ここまで運に恵まれ続けたとしか思えない日本のコロナ状況が、ふいに激変する可能性はゼロではありません。従って油断は禁物です。

だが、ほんの少しの状況の悪化に、脱兎の群れの如くパニくる日本は少し見苦しい。メディアも政府も国民も冷静になって、感染を抑えつつ経済も回す知恵をさらに磨いたほうがいいのではないでしょうか。

幸いコロナワクチンも開発されつつあります。それが日本を含むワクチン非開発国にまで行き渡るのはまだ先のことでしょう。だが恐らくそれは流通します。

それまではー繰り返しますーメディアも政府も国民も、日本がうまくやっていることをしっかりと認識して、ここイタリアを含む欧州同様に威厳を持ってパンデミックに対峙して行ってほしいと願います。

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official siteなかそね則のイタリア通信

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