イタリアの落とし穴

イタリア北部でふいに「COVID-19」が出現しました。ゾンビのように、という形容がそらぞらしいほどの唐突な印象。あるいは報道管制でも敷いていたのだろうか、と疑いたくなるほどです。突然に市中感染らしいケースも明らかになり、感染は急速に拡大しそうな様相を呈しています。

これまでのイタリアの「COVID-19」患者は3人でした。2人はイタリア旅行中の中国人夫婦。1人は武漢から専用機でイタリアに帰国した、56人のイタリア人のうちの1人で若いイタリア人男性です。中国人夫婦は回復し、イタリア人男性も状態は安定。ほぼ回復していました。

ところが事態は急展開。北部ロンバルディア州の街で集団感染にも近いケースが発覚しました。38歳のイタリア人男性が新型コロナウイルスに感染し男性の妊娠中の妻も感染。また男性が所属しているスポーツクラブのメンバーや医療関係者などにも感染していることが次々に明らかになっています。

同時にベニスが州都のヴェネト州でも2人の患者が出て、そのうちの78歳の男性が死亡。イタリア初の「COVID-19」犠牲者。こちらの2ケースは今のところ感染経路が不明です。

世界で初めて中国便をシャットアウトして、危機管理能力の高さを示したように見えたイタリアには、それ以前に既に新型コロナウイルスが侵入していた、ということのようです。

その見方が正しいなら、イタリアは中国の「一帯一路」構想を支持し、同国と覚書まで交わした政治のツケを払い始めた、とも言えるかもしれません。それというのも覚書以来イタリアには、中国人観光客が大量に押し寄せ、ビジネス関連の交流も活発になって人の行き来が急激に増えていたからです。

イタリアは突然、欧州で最も「COVID-19」患者の多い国になりました。劇的な展開に衝撃を受けているのは筆者だけではないでしょう。しばらくはこの驚異的な現象に目をこらしていこうと思います。それが「しばらくの間」の作業であることを祈りつつ。。。

※オリジナル記事2月22日 なかそね則のイタリア通信 より加筆転載

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