バタフライ・エフェクト

「COVID-19」にまつわるイタリアの状況はめまぐるしく変化しています。言葉を替えれば、ウイルスの感染が急速に拡大しているのです。

イタリア時間の今朝早く筆者は、北部イタリアでふいに「COVID-19」患者が続出し、初の死者が出たと発信しました。それからほぼ9時間後の今、2人目の犠牲者が出たことを報告しなければなりません。

初めの死亡者は78歳の男性。今回の犠牲者は75歳の女性です。男性は感染経路が判然としない町の住人。女性は、38歳の男性を起点に広がっているミラノ近郊の感染被害者グループの一人です。

ちなみに亡くなった2人は、イタリアのみならず欧州初のヨーロッパ人の死者です。ヨーロッパで初めての「COVID-19」犠牲者は、先週フランスで死亡した80歳の中国人男性です。人種差別意識からではなく、多くの欧州の患者が中国人である(あった)事実を伝えるために、敢えて記しておきたいと思います。

ついでに言えば、2月21日以前の全てのイタリアの感染者はわずか3人。2人がイタリア旅行中の中国人。1人は武漢から帰国したイタリア人でした。

ところが、今日ここまでに感染者は40人近くにまで激増し、その全員がイタリア人です。感染は中国人の枠を超えて、明確に欧州地元の住人の間に広がっています。少なくとも2020年2月22日夕方現在のイタリアではそうです。

筆者は今、住まいからそう遠くない地域で感染が拡大している現実にこれまでにない危機感を覚えると同時に、イタリア政府が昨年、中国と「一帯一路」連携への覚書を交わした因果を深い感慨と共に繰り返し思ってます。

イタリア政府は低迷する経済へのテコ入れを主な理由に、反対するEUを押し切り国益を優先しつつ、独立独歩の精神にも恥じないやり方で中国と覚書を交わしました。結果、中国との関係が深まりヒトとモノの往来が急増しました。

それが今このときのイタリアの不幸を呼んでいるのではないか、としきりに思っています。

イタリアは中国で新型コロナウイルスの感染拡大が明らかになるや否や、中国政府の猛反発を意に介することなく台湾、香港、マカオを含む中国便を、世界で真っ先に全面禁止措置にしました。

その果断なアクションは恐らく間違っていません。

だが、そのときはすでに遅く、中国発の新型ウイルスは、イタリア-中国間の大量のモノとヒトの交流にまぎれてこの国に達してしまっていた。。。

いささか感傷的ながら、筆者はどうしてもそんな物思いから抜け出せずにいます。

※オリジナル記事2月24日 なかそね則のイタリア通信 より加筆転載

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