ロックダウン十国十色

11月7日のイタリアのコロナ新規感染者は3万9千811人。死者は425人。1日あたりの感染者数は2月-5月の第1波と第2波を通して最大。検査数の増大によって新規感染者の数も第1波より大幅に増えていますが、死者数は3月27日の最大919人よりは少ない。

だが感染拡大も死者数も、そしてICU(集中治療室)患者数も確実に増え続けています。イタリアの第2波の状況はフランス、スペイン、イギリスなどに比べるとまだ比較的平穏ですが、危機感は日ごとに強まっています。

イタリアは11月6日からコロナの感染状況によって、全国20州を危険度の高い順にレッド(赤)、オレンジ、イエロー(黄)の3カテゴリーに色分けし、それぞれに見合う準則を導入しました。最も危険度の高いレッド・ゾーンの4州では、一日を通して住民の移動が規制されるなど、第1波時とほぼ同じ厳しいロックダウン措置が実施されています。

次に危険度の高いオレンジ・ゾーンの2州と、比較的状況が穏やかなイエロー・ゾーンの14州でも、夜10時から翌朝5時まで外出が禁止され、博物館、映画館、劇場、スポーツジムやプール等は閉鎖。ショッピングモールに始まる大型商業施設も週末の営業が禁止されるなど、準ロックダウン的な規制がかけられました。

イタリアは社会経済活動の継続と感染拡大抑止との間で大きく揺れ動いています。3月-5月の過酷な全土ロックダウンによって感染拡大を押さえ込みましたが、その代償として経済に大きな打撃を受けました。政府も財界も国民の大半も、その二の舞を演じたくない点で一致しています。

同時に、第1波では一日あたりの最大感染者数が6557人(3月21日)だったのが、第2波では10月半ばに1万人を超え、11月6日には3万7千809人、翌7日は既述のようにさらに増えました。第1波時よりも検査体制が拡充したとはいえ、感染爆発が連日続いている、と言っても過言ではない状況です。

イタリアは、このまま経済活動を続けるべきという声と、全土ロックダウンに踏み切るべきという声が高まって、国論が二分されています。かつては飽くまでも全面的なロックダウン支持者だった筆者は、今では感染拡大を抑える最大の努力をしつつ経済活動も続けるべき、と考えるようになっています。

ロックダウンのイタリア経済への打撃は見るに耐えないほどに大きなものでした。それは現在も尾を引いています。それでも少しの回復軌道に乗りつつありました。ここで再びのロックダウンに踏み切れば、イタリア経済は今後何年にも渡ってさらに低迷するでしょう。それは避けるべきではないか、と思います。

欧州各国は大なり小なりイタリアと同じジレンマを抱えています。欧州大陸の52カ国の感染者の合計は11月5日現在、中南米の1140万人よりも多い1160万人。死者は29万3千人にのぼります。そんな中、どの国も感染拡大抑止と社会経済活動の両立を目指して必死に対策を講じています。

レストランやカフェなどの飲食店の閉鎖や営業規制、日常必需品店以外の小売店の閉鎖や営業短縮、また劇場や映画館や美術館などの娯楽文化施設やスポーツジムなどの閉鎖に加えて、各国が国民に課している管制をランダムに挙げれば、例えば次の如くです。

ギリシャは11月7日、ロックダウン開始。小学校と保育所以外の学校は閉鎖。許可証を持参の場合のみ外出可能。

スペインはほぼ全土で住民の移動制限。国民は居住区以外の地域への移動はできません。首都のマドリード地区は週末に他の自治体との行き来を制限。隣国のポルトガルは国土の大半で、仕事、通学、食料購入以外での外出を自粛するように要請。

フランスは10月30日からロックダウン入り。日常必需品を扱う店以外の小売店は閉鎖。外出をする際は自己申告の外出許可証の携帯が求められます。

チェコは夜9時以降の外出禁止。全ての店は午後8時閉店。また日曜日は営業禁止。ルクセンブルグ、スロバキア、スロベニア、キプロス等は夜間外出禁止。コソボは65歳以上の国民の外出を禁止。ポーランドは映画館などの娯楽施設とほとんどのショッピングセンターを閉鎖。

 オーストリアは夜8時から翌朝6時まで外出禁止。首都ウイーンの有名劇場など、娯楽施設は全て閉鎖。誕生パーティーやクリスマスのマーケットなども厳禁となりました。

スイスはジュネーブと近郊の非日常品店は閉鎖。ほとんどのバーやレストランの夜間営業は禁止。多人数での邂逅も制限されています。

ドイツは11月2日から、テイクアウトサービス以外の飲食店の営業を禁止し、娯楽施設も閉鎖。同時に観光目的でのホテル宿泊も厳禁としました。

ベルギーは10月19日から夜間外出禁止。ロックダウンが導入されて飲食店や小売店は閉鎖。国民にはテレワークが義務付けられています。しかし、昼間の外出は許されます。

EU(欧州連合)本部のあるブリュッセルを有するベルギーは、人口比率での感染者と死者が極めて多い。それでも昼間の外出を規制しないのは、EUの心臓部ゆえのジレンマのようです。

デンマークはいわゆるロックダウンの厳しい処置は取りませんが、ユトランド半島 地域での移動の自粛を住民に求めています。変異したコロナウイルスがミンクから人に移ったことを受けての処置。

ノルウエーは欧州で最もコロナ感染が抑えられている国の一つですが、国民に最大限の自宅待機と他者との接触の回避を呼びかけています。ノルウエーはロックダウンをかけずにコロナ危機を乗り切ることを目指しています。

スウェーデンは相変わらず独自のコロナ対策を推進しています。国民は他者との接触や屋内での活動を避け、できるだけ公共の乗り物を利用しないように要請されています。それには法的根拠がありますが、違反しても罰せられることはありません。また全ての国民はテレワークを推奨され、大きなパーティーや集会を控えるように呼びかけられています。

アイルランドは10月22日、第2波の欧州で一番初めにロックダウンを開始。学校は閉鎖しませんが、必要危急の用事以外での外出は禁止。

英国のイングランドは、ウエールズと北アイルランドを追いかけて11月5日からロックダウン開始。学校は閉鎖されませんが、パブなどを含む全ての飲食店が営業禁止。テイクアウトのみが許される。

など。など。。

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