世論調査によるとイタリア人の8割がコロナワクチンの接種を義務化するべき、と考えています。
驚きの統計は、反ワクチン過激派NoVax(ノー・ヴァックス)が、ワクチン接種を証明するグリーンパスを阻止するとして、全国の駅を占拠すると宣言した直後に発表されました。
列車の運行を妨害しようとしたNoVaxの試みは失敗しました。強い危機感を抱いた当局が全国の主要駅に厳しい警護策を導入したからです。
グリーンパスはレストランや劇場等への入店入場のほか、飛行機や列車移動に際しても提示を要求されます。NoVaxが駅を占拠して列車の運行を妨害しようとしたのもそれが理由です。
イタリアのワクチン接種は割合順調に進んでいます。
しかしワクチン接種を拒む人々も一定数存在しています。彼らはワクチンの拙速な開発や効果を疑って反対します。それは理解できる動きです。
コロナワクチンが迅速に開発されたのにはれっきとした科学的な理由があります。また完璧なワクチンや、効果が100%のワクチンは存在しません。その中でコロナワクチンは効果が極めて高い。
それを知らずに―だが理解できないこともない理由で―ワクチン接種をためらう人々とは別に、根拠のないデマや陰謀論に影響されてワクチン反対を叫ぶ人々もいます。
それらの人々のうち、陰謀説などにとらわれている勢力は、科学を無視して荒唐無稽な主張をするトランプ前大統領や、追随するQアノンなどをほう彿とさせます。
彼らを科学の言葉で納得させるのはほとんど不可能に近い。思い込みがほぼ彼らの宗教になっていて、他者の言葉に貸す耳を持たないからです。
イタリアにおいてはそれがNoVaxを中心とする少数の反ワクチン過激派の人々です。
彼らは単にワクチン接種を拒否するばかりではなく、政治家や医療専門家やジャーナリストなどを脅迫したり、ワクチンの接種会場に火炎瓶を投げつけたりするなど、過激な動きを続けています。
NoVaxを含む反ワクチン論者の人々は、彼らなりの考えで自分自身と愛する人々の健康を守ろうとしています。
従って彼らを排除するのではなく、政治が彼らを説得して、ワクチン接種に向かうように仕向けるべきですが、現実はなかなか難しい。
ワクチンはフェイクニュースや思い込みに縛られている人々自身を救います。同時に彼らが所属する社会は、コロナ禍から脱出するために「集団免疫」が必要です。
反ワクチン派の人々は、それ以外の人々が副反応のリスクなどの対価を払ってワクチンを接種して、やがて社会全体が守られる集団免疫に達したとき、何の貢献もしないまま同じ恩恵を受けます。
それはいわゆる フリーライダーつまりただ乗り以外のなにものでもありません。
ワクチン接種の必要性を理解しない者、あるいは理解してもワクチン接種を意図的に拒む者には、罰則が科されてもあるいは仕方がないと考えます。反社会的行為にも当たるからです。
いったんそうなった暁には、ワクチンの強制接種、という施策が取られるのも時間の問題でしょう。
イタリア国民の80%がワクチンの強制接種に賛成という統計は、2020年に世界に先駆けて凄惨なコロナ地獄を体験した人々の切実な願いの表れと見えます。
イタリアではワクチン強制接種論と平行して、基礎疾患のある高齢者を対象に3回目のワクチン接種を始めるべき、という意見も出ています。
後者はすぐにでも実施されるでしょうが、ワクチンの強制接種に関しては、まだまだ紆余曲折があるのではいか、と思います。
official site:なかそね則のイタリア通信