オーストリアはコロナ感染急拡大を受けて、2021年11月15日からワクチン未接種者をロックダウンしています。
事実上国民の4分の一強が対象となります。オーストリアではワクチン接種対象の国民のほぼ3分の一が接種を拒否しています。
言葉を変えれば、反ワクチン派の住民を外出禁止措置にした時点で、同国のワクチン接種率は65%程度。EU加盟国内では最低水準の接種率です。
ロックダウンによって彼らは仕事や食料品の買出し以外には外出できません。警察は抜き打ち検査で違反者を洗い出します。
違反すると最高1450ユーロ(19万円弱)の罰金を科される可能性があります。
オーストリアの隣国、ここイタリアのコロナ感染者もじわじわと増えて、11月17日の感染者数は1万人を超えました。ことし5月以来となる高水準です。
ドイツの1日あたり5万人超よりは状況はましですが、感染は拡大の一途をたどっています。
感染した者の多くがワクチン未接種者です。
また集中治療室に運ばれた患者のおよそ8割もワクチンを接種していない者です。
ワクチン拒否者は自主ロックダウンに入るべきでしょうが、そんな良識を彼らに求めても恐らく無理でしょう。
ですのでイタリアもオーストリアに倣って、彼らへの封鎖を強制するべき時期に来ているのかもしれません。
欧州では感染対策の厳しい措置は、これまでほとんどの場合はイタリアが先鞭をつけてきました。
2020年2月、イタリアは孤立無援のままコロナ地獄に陥りました。そこには見習うべき規範が何もありませんでした。
イタリアは暗中模索で世界初の全土ロックダウンを敢行しました。
イタリアはその後も医療従事者へのワクチン接種義務、娯楽施設でのグリーンパス提示義務、全労働者へのグリーンパスの提示義務など、世界初や欧州初という枕詞がつく過酷な施策を次々に導入しました。
それは割合にうまく運んで、ロックダウンを含むいくつかの施策は、欧州ほか世界の国々にも模倣されました。
現在の感染拡大は欧州では第4波に当たります。その兆しが見えるとすぐに、イタリアではワクチン接種の義務化や、ワクチン未接種者へのロックダウンを敢行するべきという声も起こりました。
だが、それらは実現されずに来ました。ここまでに繰り出された厳格な施策が功を奏して、感染拡大が比較的ゆるやかだったからです。
その一方で、ドイツやオーストリアまた東欧諸国では感染が急拡大しました。原因はワクチン接種率の低さだと見られています。
そして先日、冒頭で触れたように、オーストリアがついにワクチン拒否者にロックダウンを強制することになりました。
ドイツも東欧各国もオーストリアに続く可能性があります。
イタリアもクリスマスを前に反ワクチン人口に外出規制をかけるかもしれません。
ワクチン接種が自発的な選択で成されなければならないのは、民主主義世界では自明のことです。
誰も個人の自由や権利を冒すことはできないし冒してもなりません。
それでもワクチン拒否を押し通す人々のせいで感染拡大が続くならば、政府は国民の健康を守るためにそれらの人々に外出禁止などの強い枷を掛けるでしょう。
緊急事態ですからその措置は許されるべき、と筆者も考えます。
個人の自由を盾にワクチンの接種を拒絶している人々は、イタリア政府に強制される前に、自らの「自由意志」でロックダウンを導入してはどうでしょうか。
そうしなければ感染拡大が繰り返され、社会全体の行動の自由が引き続き制限される可能性が高くなります。
「自らの自由は守るが他者全体の自由はどうにでもなれ」という態度では、他者の世論全体にはなかなか理解されません。
反ワクチン派の人々はそろそろそのことに気づくべきです。
official site:なかそね則のイタリア通信