11月15日からワクチン未接種者をロックダウンしたオーストリアは、22日からは対象を拡大して全国民の移動を禁止する完全ロックダウンに入る、と発表しました。
オーストリア政府は、およそ200万人のワクチン拒否者の国民をロックダウンするだけでは感染爆発を抑えられない、と判断したのです。
また来年2月からは12歳以上の住民全員へのワクチン接種を義務づける方針も発表しました。
実行されれば、欧州では初めての措置となります。
欧州を襲っている第4波は、東欧各国と隣接するオーストリア、またドイツ等を大きく巻き込んで急拡大しています。
中でも人口が900万人に満たない小国オーストリアは、1日当たりの感染者数が1万人を超えて、医療危機を含む深刻な事態に陥っています。
そこで反ワクチン人口のロックダウンを断行し、それだけでは飽き足らずに完全ロックダウンに踏み切り、果てはワクチン接種の義務化さえ強行する計画です。
イタリアのお株を奪う「初物づくし」の厳格なコロナ感染防止施策のオンパレードです。
2020年、コロナの感染爆発と医療崩壊に見舞われたイタリアは、世界初の全土ロックダウンを敢行しました。前代未聞のアクションでした。
イタリアはその後も世界初や欧州初という枕詞がつくコロナ対策を次々に打ち出しました。ワクチンの接種率も欧州のトップクラスです。
おかげでイタリアの感染拡大は比較的に小規模で推移してきました。
しかし隣国のオーストリアは、これまでのワクチン接種率が65%に留まり、急激な感染拡大に襲われています。
オーストリアはそれを踏まえて過激な措置を連発しているのです。
ところがオーストリアの苦境は、その北隣の大国ドイツにも伝播しつつあります。
そればかりではありません。
過酷な全土ロックダウン以降も厳格なコロナ対策を取り続けて、困苦をなんとかしのいできた南隣の大国、ここイタリアにも波及しようとしています。
イタリアを含む欧州各国は、今このときに厳格なコロナ対策を導入して感染を減らし、少しでも平穏なクリスマスを迎えたいと画策しています。
平穏なクリスマスは、旺盛なクリスマス商戦と経済興隆を呼び込みます。
その意味でも万難を排して感染拡大を阻止したいのです。
しかしその思惑は、ワクチンを無体に拒み続ける人々の存在によって阻害される可能性が高い。
そこで各国政府は、国民の分断をさらに深めかねないことを承知で、反ワクチン人口の封鎖やワクチン接種を義務化して危機を乗り切ろうとしています。
それが功を奏するかどうかは、ワクチン接種をためらう人々のうちの一定数が翻意して、接種会場に向かうか否かにかかっています。
ワクチンの接種を義務化しても、彼らの家に押しかけたり引きずり回したりして注射を打つわけにはいきません。
中国や北朝鮮などに始まる、世界のならず者国家なら朝飯前でしょうが。
結局、彼らを説得する以外には道はないように見えます。
それでも敢えて反ワクチン派の住民をターゲットに厳しい措置を取らなければならないところに、コロナ対策の険しさがあります。
オーストリアは欧州各国に先駆けて敢えて過酷な選択をしました。筆者はその決断を支持し施策の成功を腹から祈ります。
official site:なかそね則のイタリア通信