ならず者のプリゴジンが、ならず者のプーチンを倒して世界を救うかも、と淡い期待を抱かせたもののあえなく沈没しました。
ロシアの民間傭兵組織・ワグネルの反乱は24時間足らずで鎮圧されました。毒を持って毒を制すなんてそう簡単にはいかないものです。
プりゴジンは「7月1日にワグネルがロシア政府によって強制的に解体され消滅するのを防ぐために反乱を起こした。プーチン政権を転覆させるのが目的ではなかった」と言い訳しました。
だが当たり前に考えれば、ワグネルのプリゴジンはもう死体になったも同然だと見るべきでしょう。
プーチンに武力で対抗しようとして事実上敗れ、プーチンの犬のルカシェンコの庇護の下に入ったのです。プーチンは思い通りに、いくらでも彼をなぶることができるのではないか。
殺すにも幾通りかのやり方がありそうです。
先ず密かに殺す。スパイのプーチン得意のお遊びです。殺しておいて知らんぷりをし、殺害現場を見られても証拠を突きつけられても、鉄面皮に関係ないとシラを切り通します。
おおっぴらに処刑する。今回の場合などは裏切り者を消しただけ、と大威張りで主張することも可能です。意外と気楽にやり切るかもしれません。
殺害する場合はどんな手段にしろ、邪魔者を排除するという直接の利益のほかに、プーチンに敵対する者たちへの見せしめ効果もあります。
飼い殺しにするやり方もあるでしょう。飼っておいていざという時には再び戦闘の最前線に送る、汚い仕事を強制的にやらせる、などの道があります。
殺すとプリゴジンが殉教者に祭り上げられてプーチンに具合が悪い事態になるかもしれません。だが長期的にはほとんど何も問題はないでしょう。
逆に殺さなければプーチンの権威がますます削がれて危険を招く可能性が高まります。プーチンはやはりプリゴジンを殺すと見るべきでしょう。
だがその前に、プリゴジンと親しくワグネルの反乱計画を事前に知っていた、とされるロシア軍のスロビキン副司令官が逮捕されたと各メディアが伝えています。
どうやらプーチンは「ロシアに背中から斬りつけた“裏切り者”」として、先ずスロビキン副司令官を粛清すると決めたようです。
最大の裏切り者であるプリゴジンではなく、スロビキン副司令官を先に断罪するのは、プーチンがプリゴジンに弱みを握られていることの証でしょう。
弱みとは、彼を排除することで、ワグネルの隊員や同調者らの反感を買うことや、先に触れたようにプリゴジンが神格化される可能性などを含みます。
それでも彼は、スロビキンを排除したあとにはプリゴジンにも手を伸ばして殺害しようとするのではないでしょうか。
このまま何もしないでプリゴジンがベラルーシで生存し続けることを許せば、プーチンの権威はさらに地に落ちます。
そうなれば、遅かれ早かれプーチン自身も失墜し排除されるのは確実です。
つまり、何がどう転ぼうと、プーチンの終わりは既に始まっています。
official site:なかそね則のイタリア通信