ハマスもイスラエルも国連もテロ組織です。 あるいは同時に、ハマスもイスラエルも国連もテロ組織ではありません。
テロあるいはテロリズムは、自らと自らの支持者以外の者や組織が、政治的な目的を達成するために振るう暴力のことです。
たとえば国連は2004年、テロリズムを「住民を威嚇する、または政府や国際組織を強制する、あるいは行動を自制させる目的で、市民や非戦闘員に対して殺害または重大な身体的危害を引き起こす事を意図したあらゆる行動」と規定しました。
その定義は、住民に加えて「政府や国際組織を強制する、あるいは行動を自制させる目的で」とわざわざ指摘しているように、政府つまり体制側と、国際組織すなわち国連に敵対する者の暴力がテロ、と狡猾に規定しています。
そうではありません。テロまたテロリズムとは、見方や立ち位置によって加害者と被害者がくるくると入れ替わる、暴力と脅迫と権謀術策のことです。
今このときの中東危機に鑑みて言えば、イスラエルから見るハマスはテロリストです。逆にイスラエルはハマスに言わせれば大テロリストです。
また、イスラエルを支持する欧米から見たハマスもテロ組織です。
片やハマスを支持するアラブ各国またイスラム教国のイランやトルコに言わせれば、イスラエルだけがテロリストです。
ハマスは、イスラエルという強者あるいは圧制者に対抗して生まれた、パレスチナ解放運動グループです。
ハマスの襲撃によってイスラエルの民間人が殺害されるのは、イスラエルの攻撃によってパレスチナの無辜の人民が虐殺されることの代償です。
惨いことですがそれが戦争の実態です。
そうはいうものの、しかし、ハマスはイスラエルの横暴に反撃してイスラエルの民間人を殺害するミスは犯しても、子供の首を切り落とすような残虐非道な蛮行を働くべきではありません。
イスラエルは無差別攻撃でパレスナ人民を殺害するテロリストです。欧米各国はそれに加担する偽善者でありテロ支援者です。
だがこれだけは確実に言えます。彼らは子供の首を切ったり無辜の民を人質に取るなどの蛮行はもはや決してやらかしません。
なぜなら彼らは過去にそうした酷薄非道な行いを多く仕出かして、そこから学び反省し筆者が主張するいわゆる“欧州の良心”を獲得しているからです。
“欧州の良心”には、いかに敵を憎んでも子供の首を切り無辜の民を人質に取る選択肢はあり得ません。
ハマスやイスラム国などのイスラム過激派と、イスラエルを含む欧米列強の人民のメンタイティーの間には、そこに巨大な溝があります。
official site:なかそね則のイタリア通信