安倍派ガサ入れの意義

2023年12月19日朝、東京地検特捜部が安倍派と二階派の事務所に家宅捜索に入りました。

大物議員の逮捕起訴には大きなハードルがあるとされる中、裏金工作事件で東京地検特捜部がおよそ19年ぶりに安倍派と二階派の事務所にガサ入れをした、というニュースは新鮮でした。

政治に抑圧されていた司法が、闇の力の消失あるいは弱体化によって一気に力を盛り返す事例は、民主主義が歪に発達した国で特によく起こることです。

例えばイタリアで2006年、43年間潜伏逃亡をし続けたマフィアの大ボス、ベルナルド・プロヴェンツァーノが逮捕されました。

プロヴェンツァーノは逃亡中のほとんどの時間を、時には妻子までともなってシチリア島のパレルモで過ごしたことが明るみに出ました。

するとマフィアのトップの凶悪犯が、人口70万人足らずのパレルモ市内で、妻子まで引き連れて40年以上も逃亡潜伏することが果たして可能か、という議論がわき起こりました。

それは無理だと考える人々は、イタリアの総選挙で政権が交替したのを契機に何かが動いて、ボス逮捕のGOサインが出たと主張しました。

もっと具体的に言うと、プロヴェンツァーノが逮捕される直前、当時絶大な人気を誇っていたイタリア政界のドン、シルヴィオ・ベルルスコーニ元首相が選挙に 負けて政権から引きずり下ろされました。

そのためにベルルスコーニ元首相はもはやマフィアを守り切れなくなり、プロヴェンツァーノ逮捕のGOサインが出た、というものです。

その説はベルルスコーニ元首相とマフィアが癒着していると決め付けるものでした。醜聞が多かった元首相にはマフィアがらみの黒い報告も少なくないのです。

東京地検特捜部が、特に安倍派をターゲットに「ふいに」捜索を強めた様子は、ベルルスコーニ元首相とマフィアのエピソードをも想起させます。

安倍元首相というラスボスが死去したことを受けて、司法が反撃に出たようにも見えるのです。

特捜部の動きは少し腰砕けになりつつある、という見方もあるようだが、ぜひ踏ん張って捜索を強行していってほしい。

なぜならひとりの議員が一国の司法を抑圧し闇の力を行使するなど断じてあってはならないことだからです。

死者を鞭打つなという日本独特の美徳は、権力者に対しては示されるべきではない。

公の存在である政治家は、公の批判、つまり歴史の審判を受ける。受けなければなりません。

安倍元首相の力が悪徳の隠ぺいに一役買っていたのなら、彼は死して後もなお、実行犯の議員らと同様に徹底糾弾されるべきです。

 

 

 

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