安倍派ガサ入れはマフィア逮捕劇の兄弟ドラマ

先日、裏金工作事件に関連して安倍派の池田佳隆衆議院議員が逮捕されました。東京地検特捜部はひょっとすると本気で巨悪に挑もうとしているのかもしれません。

昨年12月、東京地検特捜部が安倍派の事務所に家宅捜索に入りました。

それは良いニュースであり悪いニュースでもありました。

良いニュースとは、特捜部が安倍派に歯向かったことです。

安倍晋三というひとりの議員に過ぎない者が、一国の司法を抑圧し闇の力を行使するなど断じてあってはならないことです。

安倍元首相の力が悪徳の隠ぺいに一役買っていたのなら、彼は死して後もなお、実行犯の議員らと同様に徹底糾弾されるべきです。

死者を鞭打つなという日本独特の美徳は、権力者に対しては示されるべきではない。公の存在である政治家は、公の批判、つまり歴史の審判を受けます。受け続けなければならない。

悪いニュースは、司法が権力者の前ではへつらっていたくせに、その権力者が死ぬとほぼ同時に復讐に出た卑劣さです。

司法が真に三権の一角を担う存在なら、彼らは安倍元首相が君臨していたころから毅然として、まかり通る理不尽に立ち向かうべきでした。忖度などもってのほかだったのです。

日本の検察は、1警官ごときが「オイ、コラ」と威張っていた未開時代からあまり進歩していません。

検察が罪をでっち上げた最近の冤罪事件「大川原化工機事件」を持ち出すまでもなく、権力を傘に着た専制的な動きが普通に起きます。

東京地検の安倍派へのガサ入れには喝采するものの、そこには彼らの前近代的で傲岸なメンタリティーも一役買っているように見えるのが憂鬱です。

政治に抑圧されていた司法が、闇の力の消失あるいは弱体化によって一気に力を盛り返す事例は、民主主義が歪に発達した国で特によく起こることです。

その分かりやすい例を挙げます。

イタリアで2006年、43年間潜伏逃亡をし続けたマフィアの大ボス、ベルナルド・プロヴェンツァーノが逮捕されました。

プロヴェンツァーノは逃亡中のほとんどの時間を、時には妻子までともなってシチリア島のパレルモで過ごしたことが明るみに出ました。

するとマフィアのトップの凶悪犯が、人口70万人足らずのパレルモ市内で、妻子まで引き連れて40年以上も逃亡潜伏することが果たして可能か、という議論がわき起こりました。

それは無理だと考える人々は、イタリアの総選挙で政権が交替したのを契機に何かが動いて、ボス逮捕のGOサインが出たと主張しました。

もっと具体的に言えば、プロヴェンツァーノが逮捕される直前、当時絶大な人気を誇っていたイタリア政界のドン、シルヴィオ・ベルルスコーニ元首相が選挙に 負けて政権から引きずり下ろされました。

そのためにベルルスコーニ元首相はもはやマフィアを守り切れなくなり、プロヴェンツァーノ逮捕のGOサインが出た、というものです。

真偽のほどは今後の検証で明らかにされるでしょうが、政治が組織犯罪に翻弄されることもあるイタリアの民主主義は、日本ほど歪ではないものの未熟で見苦しい点も多々あります。

安倍晋三というラスボスの死去を受けて司法が反撃に出たらしい状況は、ベルルスコーニという権力者の没落と同時に、大ボスの逮捕に向かったイタリアの司法の必殺のチャンバラ劇を思い起こさせます。

昨年末のガサ入れの後、特捜部の動きは少し腰砕けになりつつある、という見方もありました。

しかし、彼らが安倍派の議員の逮捕に踏み切ったのは、特捜部のガッツが本物である証にも見えて頼もしい。ぜひ踏ん張って捜索を強行していってほしいと思います。

 

 

 

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