イタリア本土最南端のカラブリア州に2週間遊びました。
実は例によって仕事を抱えての滞在でしたが、やはり例によって、できる限り楽しみを優先させました。
カラブリア州はイタリアで1、2を争う貧しい州とされます。
“されます”とひとごとのように言うのにはわけがあります。
カラブリア州は経済統計上は、あるいは州のGDPを語れば、確かに貧しい。
だが、そこを旅してみれば、果たして“貧しい”と規定していいものかどうか迷うのです。
つまりそこはやせても枯れても世界の富裕国のひとつ、イタリアの一部です。
2週間滞在したビーチ沿いの宿泊施設は快適で、食べ歩いたレストランはどこも雰囲気が良く、出る料理はことごとく一級品でした。
“南イタリアらしく”宿泊施設の備品は古いものもあり、サービスは時々ゆるく、インターネット環境も最新ではなかったりしました。
だがそれらは、終わってみれば枝葉末節の類いの不同意で、大本の流れは十分に満足できるものでした。
特に食べ歩いた料理がすばらしかった。そのことについてはまたぼちぼち書いて行こうと思います。
カラブリア州滞在中に、TVでサッカー欧州選手権の激闘も楽しみました。
16強が戦い、8強が出揃ったあたりで、筆者はイタリアの進撃を予想し、スペインの成功を信じ、イングランドの負けっぽい展開を予測しました。
イタリアとスペインは筆者の予測を裏切りませんでした。だがそれほど強くないはずのイングランドは、ウクライナをコテンパンにやりこめました。
その試合は2つの意味で筆者を驚かせました。
1つはイングランドが大勝したこと。
1つはウクライナのふがいなさ。
試合はウクライナのディフェンスの、草サッカー並みの稚拙さによってぶち壊しになりました。
ウクライナの指揮官は同国史上最強のフォーワードだったアンドリー・シェフチェンコです。
彼はこれまでいい仕事をしてきましたが、今回はもしかするとストライカーだった者の落とし穴にはまって、ディフェンス陣の強化を怠ってしまったのかもしれません。
イングランドは例によって、創造性に欠ける激しい運動でめまぐるしくピッチを席巻し、ウクライナのがっかり守備陣のおかげで4ゴールもものにしました。
イングランドの運動量の豊富と、サッカーをあくまでも「スポーツ」とみなす生真面目さは、いつものことながら尊敬に値します。
だが同時にそのメンタリティーは退屈です。
退屈なサッカーは必ず負けます。
なぜならサッカーの辞書に「退屈」という文字はないからです。
サッカーは体力に加えて知恵と創造性と頭の回転の速さを競う「遊び」です。スポーツだが遊びなのです。
イングランドサッカーには後者が欠落しています。だから退屈に見えたりします。
最終的には退屈なサッカーが勝つことはありえません。
4強に入った“退屈な”イングランドが、もしもデンマークを下して決勝でイタリアを撃破するなら、それはイングランドのサッカーがついに「未開」から「文明」へ移行したことを意味します。
筆者は今、スペインを無視して「イングランドが決勝でイタリアを撃破するなら」と、すらすらと書きました。
そう、準決勝のイタリアvsスペインは「イタリアの勝ち」というのが筆者の確固たる思いです。
「イタリアの勝ち」という筆者の主張には、常にポジショントークの色合いがあることを筆者は決して隠しません。
だが、絶不調の波に呑み込まれて呻吟している2つの強豪国のうちでは、マンチーニという優れた指揮官に率いられたイタリアの復調のほうがより本物に見えます。
そこから推してのイタリアの勝利です。
そういうわけで、
準決勝:
イタリアvsスペインはイタリアの勝ち。イングランドvsデンマークはイングランド。
そして、
決勝:
イタリアvsイングランドはイタリアの勝ち。
であるはずと、願い思い決するのではないでしょうか。。
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